不良×依存症
でも今はそんなのにかまっている暇などない。
「本当に?本当にあたしの傍にいる?」
「…あぁ。いる」
「本当に!?野球やってても、あたしと同じ世界にいてくれる!?」
「同じ世界…。いるよ」
「なっちゃあーーん!」
あたしはなっちゃんに思いきり抱きついた。
「本当に?本当にあたしの事好きなの!?」
「……何回も言わせんな」
不安になってたあたし、バカみたい。
野球ばっかやってても、なっちゃんはなっちゃんだもん。
「もう一度、好きって言って」
「嫌だよ。あんな恥ずかしい言葉今まで言ったことないわ」
なっちゃんが笑った。
そして、初めてあたしを抱きしめ返してくれた。
なっちゃんは誰よりも不器用なんだ。
自分の気持ちなんかよりも、周りからの目線を気にして、素直になれない。
自分と向き合うこともできなかったなっちゃんが今。
自分と向き合い、そして、今ここにいるあたしなんかを好きだといってくれている。
そして、あたしも不器用。
なっちゃんにフラれ、陸の想いがここに向いていることをいいことに、彼を好きになろうとした。
けれど、そんなの間違っている。