不良×依存症
陸を好きになろうとした時点で、あたしは陸を利用しようとしてたんだ。
それは陸にとっても、あたしにとっても良い事なんてない。
「俺、野球やるよ。自分と向き合う」
あたしは何度も何度も頷いた。
「それがいい!あたしも自分と向き合う!そして、なっちゃんを絶対幸せにしてやる!」
あたしがガッツポーズを決めると、なっちゃんが笑った。
「その台詞、普通男である俺が言うべきじゃねぇ?」
「何を言ってんの、なっちゃん。なっちゃんはあたしのお嫁さんになるんだから」
あたしの言葉になっちゃんが呆れ顔を見せた。
「はいはい」
「本当!?約束だかんね!裏切りなし!」
あたしは小指をつきたて、なっちゃんの前に突き出した。
なっちゃんはハッと笑い、自らの指をあたしの指に絡ませた。
この約束が、一生続きますように。
星空いっぱいの空の下であたしはそう願ったんだ。
出会いは本当に偶然。
彼が万引き犯に間違えられなければ、あたしたちは出会うことすらなかったんだ。
深波…さんだっけ。
その人が桜庭海斗に、蓮兄を紹介しなければ…。
話すらすることなかったんだ。
すごいね。
すごい、偶然だ。