不良×依存症
なっちゃんが一人の少年を指す。
「は?」
「アイツ、俺を犯人にした男や!俺、しばいてくるわ」
ズカズカと大股で歩くなっちゃんをあたしは慌てて引き止めた。
「ちょちょちょ、なっちゃん!落ち着いて!」
「俺はアイツのせいでムショで10年も過ごしたない!」
「まだ裁判は始まってないでしょ!」
「まだって何やねん!裁判するかぁ!」
「………捺来!?」
突然、聞こえた声にあたしとなっちゃんは顔を見合わせる。
…そしてゆっくりと声が聞こえた先へ…。
「…げ。健」
あら?
なっちゃんのお知り合い?
あたしは健と呼ばれた男を見ては首を傾げる。
「捺来…。お前、東の女と付き合ってたのかよ…。だからあの美河を振ったのか」
「付き合ってません!」
「誰がコイツと!」
あたしとなっちゃんの声が見事な程にハモッた。
「…捺来が女と喋るなんて、どうした!?捺来…」
「今は馬鹿にそんな事話す必要はない。つけるぞ、ワカバ」
「ワカバじゃない、ナカバ!」
あたしとなっちゃんは真犯人をつけ、その後ろからは首を傾げながらもついてくる健くん。
絶対、捕まえるんだから!