不良×依存症
なっちゃんが流に妬きもちをやいているんだってことぐらい!
知ってるんだから!
あたしは素振りをやめて、なっちゃんを見た。
小学生に、ボールの投げ方を伝授しているようだった。
はぁ…
「かっこいいなぁ」
悔しいけど、なっちゃんって本当かっこいい。
以前と比べて相当黒くなっちゃったけど、それはそれでかっこいい。
なっちゃんがボールを見つめ、そして、かまえた。
ゆっくりとスローモーションを見ているかのように動き、かと思ったら、かなりのスピードでボールを投げた。
もちろん、小学生の打者は打てないので、ミットにボスッ!
「おい、監督ー!手加減してくれよなー!」
打者がそう言った。
「うるさいなぁ!今、俺の実力を見せてやったんだよ!」
あらららぁ。
自分で自分の実力を認めているかのような発言…。
「あっ!もう7時前じゃん!帰るぞー!」
なっちゃんの一言でみんなが、片付けをはじめた。
あたしは、コロコロと転がってきたボールを掴み、それを壁に向かって投げつけた。
あたしが投げると、なっちゃんのストレートのように速くない。
陸曰くなっちゃんは本気を出せば、150kmのボールを投げるらしい。
まぁ、150kmがすごいのかはようわからんけど。