不良×依存症
「ストライク!」
なっちゃんがそう叫んだ。
「まってよ、こんなの打てないじゃない!」
「知るか!」
2投目!
なっちゃんは、深く被っていた帽子をさらに深く被り、もう顔はほとんど見えない。
そして、また投げる。
「………ッ!」
今度は集中したおかげか、球が見えた。
だけど。
「……空振り…」
2ストライク。
あと、1球で終わりだ…。
「泣いても笑っても最後やで!」
なっちゃんがボールを地面に叩きつけながらそういった。
「わかってる!」
汗でだらだらーの手でバットを強く握り締める。
そして、なっちゃんが投げる。
カンッ
バットに今、重みを感じた。
「……あたった…」
なっちゃんの投球、あたった…!