不良×依存症

* *

「あの野朗…。何て名前なん?」


「あの人…学校では有名な青山さんだよ。しかもスーパー特進科のエリート」


そう。

さっきは、なっちゃんを引き止めるのに必死だったから、相手の顔をよく見ていなかった。


だけど、さっき気付いたんだ。


今はその青山さんを追って、電車に乗り込んでいた。


帰宅ラッシュの時間のせいもあってか、サラリーマンなどが多く、座れない。

あぁ、座りたい。


「スーパー特進科…」

「ごっつい名前」


なぜか健くんもついてきて、あたしは彼が犯人にかけられている事情全てを話した。


「健くんはさぁ」


「あ、健でいいよ。君付けするの嫌いやねん」


ん?

健さんの関西弁のイントネーション、おかしくない?


「下手くそ」


両手で吊り革を掴むなっちゃんが電車の揺れに身を委ねながら言った。


きっと同じことを思ってたんだろう。


「えぇ!?捺来の真似したんだけどなぁ。知ってた?コイツ、学校では関西弁封印してるんだよ。あとすっげー無口」


「へぇ」


あんま、興味ない。


どうせなら桜庭海斗の事だといいのに。


「お前等うっさいねん」


なっちゃんが呆れている。

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