不良×依存症
「……ま、まさか」
なっちゃんは必死になって、首を横に振った。
「あ、そう。」
雪さんは、これ以上は突き止めないようだし、もう興味もう失せてしまったようだった。
「ゆ、雪さん…。何でそんな事思ったんすか」
あたしはそう尋ねた。
「いや、だって弥生って桜庭海斗の本名じゃんか。それに、顔立ちとかすっごい面影あるよ。……肌色は違うけど」
……ど、どんな観察力だよ!
まぁ、肌色は確かに違う。
ほんの数ヶ月前までは、なっちゃんも桜庭海斗も同じように色白だったのに、なっちゃんは日焼けのせいで黒くなっちゃったのだ。
「と、とんでもないっす」
なっちゃんの顔が歪む。
なっちゃんは、桜庭海斗に似ていると言われるのが、めっちゃ嫌いらしい。
向こう側が褒めていると思っても、なっちゃんは嫌味として捉えてしまう。
……でも確かによく見ると、面影はあるんだ。
兄弟だってすぐわかるんだ。
「じゃあ、お母さん!もう祭り行ってくるよ!なっちゃん来たし!」
なっちゃんの腕をひいて、ドアを乱暴に開けた。
「央!もう少し、女の子っぽく動きなさい!」
「はいはーい」
女の子っぽい動きってどんなっすか。
別に、あたし性別女だからその時点で、その動きとやらはしてると思うのですが。
まぁ、面倒だからテキトーに流すけどさ。