不良×依存症
「今の誰!?何で俺がアイツの弟だって分かったんだよ」
そっか。
なっちゃんって雪さんと初対面だっけ?
いやいやいやいや。
4月の桜庭海斗のライブで、会っているはずだ。
……あのとき、雪さんバカみたいに眠っていたんだっけ。
だからなっちゃんが覚えていないわけだ。
「蓮兄の彼女。かーなりの桜庭海斗好きで、あの歳にもなって結婚しないのには桜庭海斗が関係しているの。だから、蓮兄もさっき言うな!って訴えたんだと思うよ」
「なるほど。だから如月さんは兄貴が嫌いなんだ。」
そんな単純な理由で、桜庭海斗を悪者にしないでほしいんだけどね。
「間違っても、嫌い同盟は組まないでよ」
「いや、ある意味での同盟は組むかもな。如月さんの気持ち痛い程わかりますわ」
ちょっと!
蓮兄のわけのわからない気持ちを分からなくていいの!
「どういう意味よー」
「いや、こっちの話」
空を見上げると、ちょうちん。
どこもかしこもちょうちん。
今日はお祭りなんだって改めて思い知らされた。
「あっ、弥生さんだ!こんばんわー」
前に目をやると、そこには手を振っている陸。
「チッ、バカがきた。バカが」
あたしはわざと陸に聞こえるよう、そう言った。