不良×依存症
「おいおい、バカっていうなよー。それじゃあ、弥生さんの立場がなくなっちゃうだろー」
陸がなっちゃんを上目遣いで見ながら、不敵な笑みを浮かべた。
「は?」
なっちゃんが顔を歪ませる。
……あたしも、陸が何を言っているのか全く分からない。
「弥生さんの方が実はバカなんすよ、俺等より1年も先に生まれてんのに」
なっちゃんの眉間にしわがよる。
あららら。
陸、族あがりの怖ーい先輩に睨まれちゃった。
「でも聞いてよ、陸。なっちゃん最近、分数できるようになったんだよ」
「おお!それは大きな進歩だ。仕方ない、弥生さん、餃子でも何でも奢ってやりますよ!」
なっちゃんは陸の胸ぐらを掴む。
「お前、いい度胸してんなあ。分数の意味も分からないくせに」
「分数くらい分かりますよー。分母と分子で構成されていて、分子が分母より数がおっきくなっちゃったら大人として認め、社会に出す…そんなやつっすよね!」
……す、すげー深い話だな。
「せやねん。分母も複雑な思いを抱えて社会に出すんやろなぁ…」
なっちゃんも涙を拭うふりをしながら、そう呟いた。
……な、なんすか。
この変態2人組。
「お前等の話、きもすぎる!何、分数でそんな深い話になるわけ!分母や分子に感情なんてあるかぁ!」
そう言うと、なっちゃんと陸にあたしは睨まれた。
「お前ー!分母と分子に謝れよ!可哀相じゃないか!」
「お前の顔よかぁ、可哀相やわ!」