不良×依存症



ひ、酷い!

仮にも彼女であるあたしに言う台詞か!それは!



でも2人は、やっぱバカだけど、純粋な心の持ち主なんだ。


分数でこんなに必死になるなんて、ものすごい純粋だ。



……純粋というか、バカ?



「あらっ!この前の道案内してくれたお姉さん!」


突然、肩をポンッと数回叩かれた。


びっくりして後ろを振り向くと、以前、西高校が目の前にもあるにも関わらず、西高の場所を聞いてきた人だ。



「あのときはほんまありがとうございましたぁ」


おばちゃんがお辞儀をする。


隣を見ると、なっちゃんと陸はまーだ分数について語っている。


……ほんと、バカじゃないの。



……え、でもまって。

このおばちゃん、今関西弁…。


気のせいかな。


「いや、とんでもないですよ!」


「実は西高校に入学した息子がいはるんですよ。けど…、どうも見つからなくって」


そ、そうなんですかあ。


息子の顔がみたいと思うのは、親として当然のことだ。


陸だって、たった一人で関東まで来ている。


……おばちゃんの気持ち、わからなくもない。



「よかったら、探しましょうか?あたし、向かいの東高の生徒なんで」


「ほんまですか!それはありがとうございます!」



人探しなら、もってこいだ。


だって、あたしの彼氏が西高の人間なんだもの。


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