不良×依存症
「怒るなよ、自分が悪いんやから」
そう言うとなっちゃんはあたしの後ろにまわり、挟まるシャツを強く掴んだ。
……おい、待ってよ?
何で、掴む?
あたしの頭の中に嫌な光景が繰り広げられる…。
これがもし、現実化したら…。
ビリ…ッ!!
電車内で行われる会話や雑音が一瞬、止まったかさえも感じた。
そんな不思議な一瞬をあたしは、今、感じた。
一歩前へ踏み出してみると、さっきの掴まれてる感がなくなっていた。
「次の駅は反対方向のドアが開くからな。この手段しか取れんかった」
そう言ったなっちゃんの言葉の意味が全く分からない。
……どういう事?
あたしはゆっくりと後ろを振り向いた。
「いやぁー!!」
ありえん!
何で、あたしのシャツの背中部分が引きちぎられてるの!?
「最悪、最悪!あんた一体どういう神経してんのよ!?」
ていうか、シャツを素手で簡単に破れるもんなの!?
そんなに、ヤワな制服じゃないよ!
「うるさいな…。これでも着てろや」
なっちゃんは着ていた学ランを脱ぎ、あたしに渡す。