不良×依存症
「レモンの酢漬け」
あたしがそう言うと、紙袋をあさぐっていた陸の手が止まった。
そして、みんなの思考回路もストップ。
「……は?」
「いやー!あたし酸っぱいもん大好きでさぁ!」
なっちゃんが拳をわなわな震わせた。
「知るかぁ!酸っぱいもんに、酸っぱいもんつけるなやぁ!」
あたしはなっちゃんから、ゲンコツをお見舞いされた。
「う、嘘だよ!ちゃんと、クッキーとかちゃんとしたレモンのはちみつ漬けを作ってきたってばぁ!」
うわーん!
野球の連中らが、机のまわりに集まってあたしの作ってきたクッキーなどを食べ始める。
「わー、意外にうまい!」
そんな声がいっぱい聞こえた。
しかも全部共通して、一言多い。
意外とか案外とか…。
そんなこと言われるなら、今日実験で使ったヤバイ薬品入れればよかった!
本気でそう後悔しちゃったよ。
「央、ありがとな」
落ち込んでいるあたしの頭に優しく手を置いて、心配してくれたのはあたしの大好きななっちゃん。
付き合って2年経つのに、なんだかんだラブラブだ。