不良×依存症


…うぅ。


あたしはなっちゃんに向かって頬を膨らませ、乱暴に奪い取る。


その時、丁度ドアが開く。


青山さんはスタスタと進み、電車からおりた。


だから、あたし達も急いでおりる。


「ところでさ、捺来は何を盗んだの?」


健が小声でそう言った。


周りに聞かれちゃあ、疑われちゃうもんね。


「せやから俺は盗んでへん!……カメラ」


……カメラ?


「しかもインスタントちゃう。めっちゃ高い技術付きのカメラ」


ていうか、今更なんだけど。


あたし、何で盗んだ物が何かとか思わなかったんだろう。


まあ、話が強引に進んだからね。



でも

……青山さん、カメラ何に必要だったんだろう。


青山さんは、あの有名大学の医学部に受験するんでしょ?


…カメラなんて必要だったのかな。


「……いくらなの?」


肝心はそこだ。


値段が高いからこそ、店と争っているのだろう。


……いや。


盗まれたことに変わりはない。


値段がいくらだろうと、犯罪はイケナイのだ。
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