不良×依存症
蓮は掴んでいた鉄パイプを柏木に向かって押すと、柏木が見事に倒れる。
蓮のその行動は、かなりの力が必要とされる。
なのに、あんなに軽々と…。
捺来には、何が起きているかさえもわからなかった。
「保護観察の施設から抜け出して?そして、高校生を売春させようとして?高校生にパチらせて?高校生殴って?お前は、馬鹿か」
蓮の言葉に、柏木は拳を作り、怒りにより震わせていた。
「……ッッ!」
柏木が蓮に向かって拳を振り上げた。
しかし蓮は顔色1つ変えず、冷静を保ち続け、その拳を掴む。
パシッと乾いた音が響き渡った。
5人の高校生と2人の大人。
7人の思いが、混じり合う。
「お前に逃げ場所はない」
柏木は蓮の胸元に視線をやる。
そして蓮のつけている弁護士バッジを見ては、ハッと顔を上げる。
「お前…ッ、弁護士なったんか…!?」
「まだ新米だけどな」
蓮が不敵な笑みを浮かべたと同時に、パトカーのサイレンが耳に入る。
「手下はもう捕まえた。全く…大阪からここに来るとはとんでもない男だ」
やがて暗闇に包まれた倉庫が、パトカーのライトでさらに倉庫を不気味にさせる。
捺来はもう意識すらまともになくて、そのまま静かに瞳を閉じた。