不良×依存症
突然のキス
* *
あの倉庫で起きた事件により、なっちゃんにかけられた疑いが見事に晴れた。
そしてあの柏木とかいうハゲは、現行犯逮捕。
そしてあたしは今、蓮兄の仕事場…つまり弁護事務所にいる。
「全く。酷い怪我だな」
蓮兄が気絶中のなっちゃんの腕を掴んでは、マジマジと見つめる。
現在の時刻は23時。
あたしも目が覚めたのが丁度30分前で、気付いた時にはもうあたしと蓮兄となっちゃんの3人だけだった。
健と青山さんと青山さんの妹さんは、家へと帰ったらしい。
青山さんも健も酷い怪我をしていたが、蓮兄がお互いの両親に上手く説明したみたい。
…しかし。
なっちゃんの家は、彼が起きない限りワカラナイ。
「コイツが一番酷い怪我してるな。なんせ、鉄パイプだからな」
「でも蓮兄、その鉄パイプを片手で操ってたよね?」
そう。
蓮兄、喧嘩と無縁の仕事をしているくせに、今日の事件で蓮兄はすごい活躍をしていたのだ。
「あんなの誰でもできる」
「いやいやいや、できないでしょ。不良のなっちゃんでさえ、だめだったんだよ?」
「俺にも過去ってのがあるからな…」
蓮兄はそう言うと、なっちゃんの腕を離し、ディスクに目をやった。
……蓮兄の過去?
「何、蓮兄、不良だったの?」
「さあ…」
蓮兄は首を傾げると、コーヒーを一口飲む。