不良×依存症
「綺麗な顔だなあ」
なっちゃんは、今、顔を酷く怪我しているのにその隠れている素顔は半端なく綺麗。
男の人に綺麗って言うと何かおかしいけど。
本当にそう思う。
パーツパーツが綺麗にできていて。
そして、やっぱり桜庭海斗に似ている。
それは2人が兄弟だという事を、強く感じさせていた。
「いいなあ…」
あたしはなっちゃんの柔らかい髪をそっと撫で、額、頬、と触れる手を下におろしていく。
「…ん」
なっちゃんの眉がピクッと動く。
「わっ!」
あたしは反射的に触れる手を、引っ込めた。
「な、何だよー。生き返ったのかと思ったよー」
胸をポンポンと叩き、自らで安心させる。
しかも不覚にも、なっちゃんの寝顔にドキッとしたじゃないかあ。
どうしたんだあ、あたし。
あたしは両手で自分の頬を包み込む。
「しかも顔、熱いしい…」
自分が自分じゃないようで、ある意味怖い。
「あたしが好きなのは海斗よ。」
あたしの頭の中が混乱している。
ど、ど、どうしよう。
なっちゃんがおきたら、あたし冷静でいられるかな。
不安だけがどっと募る。