不良×依存症



雪さんは男の体型とやらに憧れているらしく、その理想が蓮兄の持つ肉体で、抱きしめて感触を味わうらしい。


…一歩間違えれば犯罪なんだけどね?


まぁ蓮兄も単純だから、それだけで優越感を得ちゃうしね?


「あ、そうだ!」


雪さんが何かを思い出したように蓮兄から素早く離れると、あたしに視線を移す。


……え、何



「央さぁ、4月9日空いてる?」


蓮兄が驚いた様子でこちらを見たが、あまり気にしないようにしておこう。



「あ、空いてます…、けど」


「丁度良かった!桜庭海斗のライブのチケットがペアで取れたの!しかも、アリーナ!真ん前だよっ!」


瞬間、あたしの目にたくさんの星が宿った。


「うっそーっ!」


あたしは雪さんの両手を掴んだ。


マジ、マジ!?

あの入手不可能とまで言われるチケットを…!

あの宝くじ1等を当てるより困難だと言われるチケットを…!


しかも真ん前…!?


「行きます、行きます!!死んでも行かせて貰います!」


あたしと雪さんはあまりの嬉しさに飛び跳ねた。


「あ、蓮。そういう事で、4月9日は、車でライブ会場まで送ってってね?」


「おい、雪、ちょっと待てよ。9日は先に俺との約束があるだろ?」




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