不良×依存症
「ファーストキスって…すごく大事じゃん?」
肘付いて、空を見上げる。
「…そうか?俺は上の姉貴に、幼い頃取られたけど」
陸が積み重なった弁当箱を片付けながら言った。
…そんなん、身内じゃない。
身内なら、別にどうって事ないじゃない。
「初めては好きな人がいいじゃん!?でもあたしは…ッ」
「うん」
陸がいつになく真剣な表情をしているのが分かった。
その表情が何だか怖くて、言葉に躓いてしまう。
「あたしは…」
「え、何?お前さっきから…。まさかもう男とAなしのCまでいっちゃったわけ!?」
陸が興奮のあまり、声を大きくして喋ってしまった。
もちろん、周りは陸の言葉に異常な程に反応してあたし達を見る。
だけど、頭がテンパッちゃってるあたしに余裕なんてもんは残ってなくて。
「Cおろか、Bもいってないもん!」
あたしは思わず口を手で押さえてしまった。
……ぼ、墓穴…ッ。
Bもいってない…って、つまりAはしたのかって捉えられるよね。
「…な、央…。お前、Aつまり、キスはしたのかよ!」
はあ…ッ
本当に最悪…。
あたしが周りを見渡すと、好奇の視線を独占していることに気付いた。
…陸のせいだ。