不良×依存症


「え、でも学校は向かいじゃないですか。一緒に待っててくれませんか?」


青山さんは片目を細くさせて、あたしに申し訳なさそうに言った。


「や!本当、無理っすね、なっちゃんとは会わす顔がなくて」

「それは僕も同意見です。」


青山さんはそう言って、頭を掻いた。


…青山さんの顔に貼ってある絆創膏が、なんとも生々しい。


「僕は彼がいなかったら間違いなく、この世にいないと思います」


いや、それはどうですかね。


あたしは苦笑いを浮かべ、首を傾げた。


「お礼がしたいんですよ」

「いや……」


なっちゃんは性格から見て、御礼とか好きそうじゃなさそうだし…。


大体、なっちゃんは青山さんを助けるのではなく、柏木とやらに復讐しただけであって。



「もちろん、工藤さんにもお礼はします。これでどうですか」


青山さんはあたしへ少し近付き、茶封筒をこっそりと渡す。


…何だ、これ。


あたしは首を傾げながら、茶封筒の中身を確認する。


…現金だったりして。


だけど中身は現金よりも、受け取りがたい物だった。


あたしは中身を見た瞬間、目を大きく見開いた。


「コ…ッコレ!」


背の高い青山さんを見上げ、口をパクパクさせる。


茶封筒の中身は今度、生放送歌番組の招待券。


この歌番組は3時間を超える生放送で、色々な人気の歌手が集まり、かなりの高視聴率を獲得する事で有名だ。
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