不良×依存症
…すごい。
あの青山さんが、不良に頭下げてる…。
「ああ、別に。あれは俺なりの復讐ってだけあって、別にあんたを助けたつもりなんて全然ないっすから」
「いや、でも。あのままじゃ、妹が…ッ」
青山さんはそこで言葉を止めた。
そうか。
青山さんの妹…、拉致されたんだっけ。
きっと今、深い傷を負っているに違いない。
ただ。
青山さんとなっちゃん…どちらも、美形だからすっごい画になる…。
「お礼…いらないっすよ。別に」
「いや、でも…。」
「お兄ちゃん!」
突然、後ろから甲高い甘い声が聞こえた。
その声に青山さんが大きく反応したから、きっと青山さんの妹なのだろう。
「あ、結衣!弥生さん、今度また…あっ、連絡先聞いていいですか」
「ああ、別に」
なっちゃんは、黒い携帯を取り出すと青山さんと赤外線通信を始めた。
赤外線通信を終えた事を確認した青山さんは、1つお辞儀をすると妹さんのところへいった。
「…何て野朗だ」
「ていうか、青山さん勘違いしてるよね。本当はなっちゃんじゃなくて、蓮兄が助けたのに」
あたしがそう言うとなっちゃんは、チッと舌打ちをした。
「お前さっきから言おう思っとったけど、声デカイで?東の野球部の連中達がお前ずっと見てた」