不良×依存症
兄の身体は、ほとんど雪さんでできている。
蓮兄は雪さんと音信不通になったら、必ず落ち込む。
蓮兄は雪さんと喧嘩したとき、雪さんに【あたしと仕事どっち選ぶの!?】と言われ、本気で弁護士を辞めようとした過去がある。
まぁ、結局そんな暴走している蓮兄を周りが中心に説得したが、蓮兄はそれでも辞めようとした。
しかし。
雪さんの【弁護をしている蓮の姿、もう見れなくなっちゃうの?】という寂しげなたった一言で蓮兄の暴走を止める事ができた。
それから仕事も好調に進んでいった。
…誰よりも、何よりも、雪さんだけを見つめ、そして愛している。
…きっと。
きっと。
こんな兄が傍にいるからかもしれない。
もう、自分では認識していないうちに"男は貢ぐものだ"と思っているのかもしれない。
彼女を愛しすぎている蓮兄を見すぎて、あたしの理想はどんどん高くなっているんだ。
何でもできる格好良い蓮兄を見すぎて、プライドがどんどん高くなっているんだ。
だから、あたしに彼氏はできないんだ!
いつまで経っても、独り身なんだ!
そうだよ…。
イマドキの男子ってみんな消極的なんだ。
自分から積極的にアピールしようなんて奴は、逆に遊び人とあたしは捉える。
こんなんだから、彼氏ができないのかな。
「まぁ…いつかできるっしょ」
あまり深く考えず、あたしは眠気に身を任せ、そのまま眠りについた。
…これから、波乱万丈な人生を過ごす事になるとは知らずに。