不良×依存症

あたしは周りの目も気にする事なく、なっちゃんを指した。



「何でやねん」


なっちゃんが、頭を激しく掻く。


「あの時…ッ、騒いでいるあたしを放っておいたらよかったのに!」


「何で俺のせいになるねん…」


あたしが怒っているのとは反対に、なっちゃんは呆れている。


「とにかく、責任は取ってよ!」


そう、これがあたしが一番やりたかった事。


責任…そう言いつけては、なっちゃんを利用し、海斗を自分のモノにしようという魂胆があるのだ。



わかってるよ。

なっちゃんが悪くないって事ぐらい。


あたしは下唇を強く噛みしめ、なっちゃんを睨んだ。


「お前なぁ…、自己中にも限度ってもんがあるわ…」


「つべこべ言わず、あたしのいう事聞いてよ!」


「あかん。俺、惚れた女以外の奴の言う事なんて聞きたない」



惚れた女…。


なっちゃんの人生の中に、惚れた女という立場の女性はいたのだろうか。


そう考えた自分の胸に、何かが突き刺さるような微かな痛みを感じた。


「いいもん、だったら…」


あたしはキッとなっちゃんの鋭い瞳を睨みつけ、ある決心をした。



だったら…


だったら

「惚れさせるんだから」