不良×依存症
* *
「……蓮兄」
あたしは愕然とした。
あまりの出来事に持っていたスクールバッグを床に落としてしまう。
実は今、あたし蓮兄に、わからない勉強を教えてもらおうと弁護事務所に来ていたのだ。
仕事だって分かってる。
だけど、テスト前の高校2年生なの。あたし。
でも、そんな事を言う余裕がなかった。
…なぜって?
「うん?あ、央」
蓮兄が、あたしに気付いた様子で近付いてくる。
「いやっ!こないでっ!」
「は!?」
あたしは身体を守るようにして、両手で自分の身体を隠した。
蓮兄は呆れた様子であたしを見る。
そんな蓮兄よりも、蓮兄の真後ろにいる人間があたしは気になった。
「なぁ。柏木はどうなったん?」
あたしなんかお構いなしと言った様子で、後ろにいる人間が蓮兄に話す。
…関東で聞きなれぬ、関西弁。
それを喋るのはアイツしかいない。
「なっちゃん…!」
「あー、眠いわあ」