不良×依存症
「なるほどね…。で、何で陸はあんなにも落ち込んでいるの?スランプ?」
明菜が首を傾げ、陸をさした。
「…俺、野球やめよっかな」
陸がとんでもない爆弾発言を投下させた。
「ちょ…っ、何でだよ!」
酒巻が慌てて止めにはいる。
ずっと焦点の合わない目をしている陸に、あたしは肩をポンッと叩いた。
「大丈夫、陸。キミが野球お休みの時、あたしがデートに誘ってあげるから」
せっかく父母の方々が激励をしてくださるのに、あたしのせいで無駄になるのはごめんだ。
「チケットはなっちゃんで済むから」
「えっ?」
つい、独り言を口に乗せてしまったことを陸の傾げた首で理解した。
「ううん、なんでもないよ」
この時のあたしにまだ知るはずなんてわかった。
なっちゃんとあたしと陸…。
この禁断の関係と。
なっちゃんと陸が衝撃の過去で結びつくだなんて。
まだ何も知らないあたしに、考える余裕なんてなかった。
「さーて、帰宅部は準備にとりかかって!部活動生はもう終わっちゃおーっ☆」
実行委員の純が、片付けの準備をしはじめた。
あたし、酒巻を含めた帰宅部は叫びまくり。
明菜を含めた部活動生はガッツポーズ。
陸だけは、上の空だった。