不良×依存症
「もういいよ!雪さんと行くんだから!雪さんだったら、喜んでいくもん!」
「何だ。行く奴いるやないか。じゃあ、俺必要ないな」
確かに。
もう雪さんでいいかな
あの人、かなりのマニアだし。
でもそんな希望をもった意見を崩したのは蓮兄だった。
「絶対だめ!」
蓮兄は、あたしの手からチケットを奪い取り焦るようにそう言った。
「は?」
なっちゃんが首を傾げる。
「お前、マジで言ってんのか?アイツを連れて行くな!」
「何でよ!」
「アイツの気が完全に向こうに行ったらどうすんだよ!お前、責任取れないだろ!?」
…彼女をアイツと言ってる時点で、何と言うか…。
「雪さんの気はもう桜庭海斗にいってるでしょ」
「雪さんて誰やねん」
なっちゃんが会話に割り込んでくる。
「雪さんは、蓮兄の彼女。すっごい桜庭海斗のファンだよ」
「ほぉ」
「頼む、雪は勘弁!捺来、お前いってやれ!」
蓮兄がなっちゃんの背中をパンッと叩いた。
「はぁ!?何すか、それ!さっきと態度が全然違う!!」
なっちゃんが蓮兄に向かって怒る。