俺様上司生活
あたしがそう呟いた直後、ガシッと頭を掴まれる。この背後からの気配は、クソでもなんでもない…

緒方だ…


「口じゃなくて手を動かせ!タダでさえ使えない部下なのに」


腹が立った…だが図星なので、何も言えない…言い返せない。スキルも実績も才能も皆、緒方のほうが上なのだ。

あたしみたいな下っ端ごときが、『ID』に口を出してはならない…

だけどそんなんじゃ…


「腹の虫が収まんないんだよ!このクソ上司ィ!!!」

「う…わっ危ねぇ」


あたしのパンチを見事に避けた緒方。その拍子にバランスを崩し、階段から落ちる。覚悟を決めたあたしは、目を瞑りひたすら耐えようとした。

…が

見えたのは薄地の上着と少し日に焼けた肌。肩は何故か固定されている…


「あ…り…?痛くない」
 
< 8 / 17 >

この作品をシェア

pagetop