先生愛!~もう1つの片思い~
患者の病室は626室。
整形外科のベッドがいっぱいで、外科の方の病棟に入ってもらっている。
「626……あった。」
ナースステーションの目の前の部屋。
この部屋の中に4つあるベッドの内の、1つが俺の担当の患者のはずだ。
確か…NO.4のベッドだったよな…。
カーテンが閉まっている。
カーテンに手をかけて、さっと開いた。
自己紹介をしようと思っていた俺は、出鼻をくじかれた。
「寝てる…。」
俺の担当患者は、真っ白なシーツの上ですやすやと眠っていた。
天使の居眠り。
そんなネーミングがぴったり合うような寝顔。
静かな寝息。
俺はこの時、きっと、この時に恋に落ちたんだと思う。
この、柊しおりを、愛おしく思ったのだと思う。