先生愛!~もう1つの片思い~
綺麗、というような顔ではないが、無邪気であどけない顔。
長いまつげ。
体をくの字に曲げて寝ている姿。
無防備な寝顔。
茶色い柔らかそうな髪。
全てが繊細そうで、触れると崩れてしまいそうだった。
ベッドに挟まれているネームプレートで名前を確認する。
柊しおり……間違いない…。
俺の担当の患者だ。
不意に、『彼女に触れたい』、という気持ちが湧き上がってきた。
彼女の頭に触れようと伸ばしかけていた手を、急いで引っ込めた。
「何やってんだ…俺……。患者だぞ…。」
深く息をして、自分を落ち着かせた。
お年寄りばかり相手にしてたから、戸惑ってるだけだ。
慣れてないだけだ…。
そう必死に自分に言い聞かせた。
とりあえず、ベッド脇にあった椅子に座って待つ事にした。
それにしても…本当に…天使だ。
暖かい気持ちで心が満たされ、疲れもふっとんだ気がした。