先生愛!~もう1つの片思い~
「慶子!……慶子!」
その人影は彼女の名を口にしながら、全速力で駆けてくる。
「達彦さん…?…達彦さん!!」
どうやら、例の芸術家さんらしい。
「慶子…ごめんな、俺が不甲斐ないせいで、お前に負担ばかりかけて……でもな、でも、俺、ついにやったんだ!やったんだよ!!こないだの個展が認められて、有名な作家さんが俺の力を是非、試してみたい、って…!話があったんだ!!」
息を切らしながら、青年は慶子さんの肩をつかんだ。
「達彦さん…達彦さん!ついにやったのね!!」
彼女は、感極まって泣き出した。
そんな彼女を、青年は軽く抱き寄せる。
「ごめんな。お父さんに俺達のこと、しっかり話にいこう。」
彼女は小さく頷いた。