先生愛!~もう1つの片思い~
「へぇ!?」
あまりの図星に対応しきれなかった俺は
腑抜けた声を出してしまった。
「まあ……あなたの性格的にいないんでしょうけど。いいわ、またそっちに相手の方の写真、送るからね。じゃあね。」
電話を下ろし、ふぅ、っと溜め息をつく。
母親に気付かれたくないという焦りと恥ずかしさ、
まさかのズバリ当ててきたことへの驚き、
執拗以上の勧めによる圧迫感から逃れられて
とりあえず助かったという安堵をしっかり味わわぬうちに
何故か勝手に見合いをすすめる方向に話が転げられていることにたいして、今度は気をもんだ。
全く困ったもんだ。
執拗以上におしてくる母親と、
俺がここまで頑なに
結婚したくないと思わせる―――柊しおりに。
もう何年も会ってないし
今後も会える可能性はないに等しいその相手に
いまだに惹かれている俺は……むしろしつこいのだろうか。
異常なのか。
未練たらしいのか。
むしろ
一番執拗な人間は
他の誰でもない、
俺 なのかもしれないな。