先生愛!~もう1つの片思い~


「四階です。」

平坦な電子音とともに、外へはきでた。

四階のナースステーションは……たしか、この角を右に曲がったところだったよな……。
俺はそちらの方向へ歩みだした。

小さな子供たちがきゃっきゃ、とはしゃぐ声。
わーわーと、泣き叫ぶ声。
どうやらここは、小児病棟で間違いないようだ。

大きなナースステーションが、目の前に見えてきた。
何人かのナースが、慌ただしくナースコールに答えたり、せっせと書類整理をしたりしている。やはりどこもてが足りていないのか。

俺は、ステーションのカウンターに立っている看護師に、声をかけた。

「あの、すみません。」

「はい、なんでしょう。」

三十代半ばくらいであろうか、年をとっているとはいえないが、ある程度仕事にもなれたベテラン感が漂った女性だった。柔らかなアルカイックスマイルで俺の言葉に応対した。

「こちらに……その…………」

女性看護師は俺をじっと見つめた。


「ひ、ひいらぎ……しおり……さんって看護師は……いらっしゃいますか、ね??」

少々たじろぎながら、何とか聞くことが出来た。


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