先生愛!~もう1つの片思い~
俺は、俺の担当の外来の部屋で、いつもと同じく準備を整えていた。
何とか手を動かすことで、俺は、気持ちを落ち着けようとするので精一杯だった。
いつから、こんなに取り乱すようになったのだろうかーー。我ながら情けないな、と思いつつ、小さく息をついた。
その時、
コンコン。
ドアを叩く音。
「失礼します。」
聞き覚えのある、あの澄んだ快い声が俺の耳の鼓膜を軽やかに震わせた。
「初めまして。私、柊しおりと申します!まだまだ慣れませんが、よろしくお願いします!」
そういって、彼女は、俺に頭を下げた。
間違いない。彼女だ。
もうあれから何年も経ったけど、
化粧なんかしちゃってるけど、
それでも、間違いない。
俺の待ち焦がれた彼女が、手の届く距離にいる。
彼女は、そっと頭を上げ、俺と目があった瞬間、一瞬目を見張った。
「せんせ……?」
俺は、その小さな声を、聞き逃さなかった。
彼女もーー俺を、覚えてくれていたのだーー!