先生愛!~もう1つの片思い~


エレベーターを降り、少し廊下を歩いた先にある、俺の部屋のドアの取っ手に手をかけつつ

あることを思い出した。


そういえば、見合いの写真、送ってくるとか言ってたけど……まだ届いてないよな?

家のポストは必ず帰宅した時に毎日確認するが、最近は地方の小さな新聞や、近くの美容院のちらし、くらいしか入ってなかった気がする。
おふくろからの手紙だと、見落とすはずもないし。

と、いうことは、
もうすっかり忘れてるのかな?

それはそれで有難いことだ。
俺としては処理しなくてはいけないことが一つひとりでに消えていってくれたということなのだから。
部屋に入り、椅子に腰掛けて、
ふー、と細く長く息を吐き出しながら、少々の安堵と開放感が胸を伝った。


さてと。
じゃあ、スケジュールの確認とでも、いきますか。

その前に……

俺は、机の上に積んでいた新品の紙コップを手にとり、毎朝の日課のコーヒーを入れようと、重い腰を椅子からあげた。





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