先生愛!~もう1つの片思い~


天気のいい日は、実に気分がいい。

仕事もはかどる。やはり、意識してはいなくとも、天気も心の安定に少なからず影響を及ぼしているのかもしれない。


ーーまたは、これはこの後起こる出来事の予兆だったのかもしれない、と冷静に解釈するとそう思えぬこともないかもしれない。


今朝は、コーヒーを飲み、スケジュールを確認してから程なく、彼女は、しゅっきんしてきた。
おはようございます、と、いつものように挨拶をする。低血圧なのか、朝は大抵青白い顔で、か細い声で挨拶をするのだ。
それもそれで、また、なんとも言いようのない愛しさが胸を占拠した。

「おはよう。」

そんな俺の心の中の葛藤を悟られぬよう、必死に冷静さを装い、突き放すように今日も挨拶の言葉を発したのだった。


そんな朝のやりとりをいつも通り終え、朝の回診も無事に終え、午後から来る外来の患者さんの診察に備えて準備をしていた俺は、ふとそうした心地よい名言めいた感想を感じていた。

「尾上先生……お手紙がきていたようです。」
そのように胸踊らせていた俺のもとに、柊しおりはなにやら一通の白い封筒を俺のもとに持ってきた。


「ん?ありがとう。」

だれからだろう、と全くあても思いつかぬまま、彼女からさその封筒を受け取った。

白い封筒の表面をはった、見覚えのある形態の黒い線を見て俺は、ハッとした。


こ、これは、もしや……




おふくろからの手紙だった。








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