先生愛!~もう1つの片思い~
指定された部屋へと出向いた。
もうすでに何人かパラパラと集まっており、椅子や机も打ち合わせ用にセッティングされていた。
今度比較的大きな手術をするため、その手術のおおまかな流れや担当、術式などの話し合いがここでなされるのだ。
俺もそのチームの一員として抜擢された。
丸く並べられた机と共にセッティングされている椅子のうちの1つに腰を掛けた。
「尾上くん、何だか機嫌よさそうだね。」
優しげな笑みを浮かべつつ、俺の隣に腰を掛けた。
「竹下先生……!おはようございます。」
「いやぁ、最近の君は実にエネルギッシュで、仕事にも意欲的、そして技術的にもメキメキと上達してるね!こんな言い方すると昔はそうじゃなかった、みたいに聞こえちゃうけどね!」
と、言って高らかに笑った。
「何があったかは詳しく聞かないけど、きっといいことがあったんだろうねぇ。その調子で頑張っちょうだいよ!今回の手術も君に期待してるよ!」
ぽん、と俺の背中を人叩きしながら竹下医師は言った。
「ありがとうございます……。」
俺は一人、心の中で微笑んだ。
温かい何かが、じわーっと、広がっていった。
まるで、小籠包を開いた瞬間、中から汁が滴り出るかのように。
紛れもなく、こうした変化、そして生きる活力、それを生み出しているのは……彼女だ。