先生愛!~もう1つの片思い~
閉ざされた重々しいカーテンを開いた。
明らかに怒っている女性が1名。
今にも泣きそうな顔をして、ベッドに座っている。
ヤバっ……冷静になれ、俺。
外れかかっていた鉄の仮面をしっかりとかぶり直し、淡々と輸血の際の説明を行った。
一通り説明し終えて、サインを促す。
ん?
こいつ、聞いてないんじゃないか…?
紙を睨みつけたまま、微動だにしない彼女。
「あの、ここにサインしてもらえます?」
すると、いきなり彼女は慌て始めた。
面白い。
慌てすぎだろ…
「もう1回、説明しましょうか?」
意地悪っぽく、顔を更に近づけてもう1度尋ねる。
みるみるうちに、顔が赤くなるのが分かる。
ヤバい…慌ててる…!
そんな彼女を見て、ドキッとしてしまう、俺。
慌てて、サインを書く彼女。
まつげの長い、端正な顔立ち。
格別の美人、って訳じゃないのにどこか愛くるしい。
何なんだろ?
人懐っこい目?
小さな口?
すっと通った鼻筋?