先生愛!~もう1つの片思い~
手術開始からもう2時間。
予定の終了時刻だが、予想外の患部の広さに手こずっている。
「これは厄介だ…。」
部長の顔が苦痛に歪む。
腫瘍を取り除いても、取り除いても、ある。
「いかん…!出血が…!!!」
裂けまくっていた血管腫を取り除いているせいで、どんどん血管腫が裂け、血が止めどなく流れる。
予定の300mlを大幅にオーバーしていた。
「部長…!このままだと…危ないです…!」
医師団の内の1人が口を開いた。
生命に危険を及ぼす出血量まで、もうあと少し…。
「輸血…したくないが…せざるをえんか…?」
部長が頭を悩ませる。
何も知らずに眠り続ける、彼女。
今自分が命の危険に知らされているとも分からずに。
このまま、守りたい。
彼女を、守りたい。
強く、願った。