レンタるな恋人
「はあ?」

俺は眉間に皺を寄せた

琉菜は顔を真っ赤にさせている

「あのさ…契約事項、読んだ?」

俺は琉菜を睨んだ

琉菜は気まずそうな表情になると、俺の袖をゆっくりと指からはなした

「はい、読みました」

「そこに禁止事項もあったよね?」

「はい」

「そこにセックスのことも書いてあったと思うけど」

「はい、知っています」

「知ってるならさぁ」

琉菜はぶるぶると首を横に振ると、また俺の袖口をつかんだ

「それでも……ダメ…ですか?
内緒にします
絶対に誰にも言いません!
あ、もしお金が足りないなら…」

琉菜はくたびれた鞄の中に手を突っ込んだ

「ちょ…ちょっと待てよ
契約違反だ
この話はなかったことにする」

俺は琉菜の腕を払うと、カフェを後にした

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