レンタるな恋人
俺は家に帰ると、自室のベッドに横たわった

…眠い

最近、姉貴の仕事が忙しかったから、寝不足続きだよ

俺はドアに背を向けると、スーツのまま瞼を閉じた

深い眠りに落ちる瞬間

背中に激痛が走った

「れんたぁ!」

恨みの籠った低い声が俺の耳の上から聞こえてくる

俺は背中に入った姉貴のひざ蹴りのせいで呼吸困難になる
苦しくて、呼吸ができない

咳だけが連続で出て、頭がくらくらして視界がぼやけた

「…いっ…てぇ、な」

やっとの重いで言葉を紡ぎだすと、今度は姉の拳が俺の腹に命中した

胃の内容物が逆流しそうになる

俺は姉貴を払いのけると、トイレに向かって走り出した

こんなときでも姉貴が倒れてないかどうか、目のはしで確認している自分にあきれる

俺のほうがいじめられているのに
俺のせいで姉貴が怪我をしていないか
痛いを思いをしていないか
確認している自分を鼻で笑いたくなる

「恋汰、あんたは今日から3日間、家に帰ってくる予定はないはずよ」

トイレに顔を突っ込んでいる俺の背中を、姉貴が足でぐいぐいを押してくる

「お金は?
もらってきたの?
ああ、それとも相手があんたを気にいらなかったとか?
玲がやっぱりよかったって?

あんたって最低!
ちゃんと仕事しなさいよ」

姉貴は勝手に解釈して、俺を責める

俺は顔をあげると、姉貴を睨んだ

「俺の話を聞け!
相手が契約違反をした
だから俺は契約破棄をして帰ってきたんだよ」

怒りで床を蹴った

姉貴の横を通り過ぎると、自室に戻る


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