レンタるな恋人
「え?」

小さな驚きの声に俺は顔をあげた

琉菜が買い物袋をさげたまま、俺を見つめていた

単語帳をポケットにしまうと、俺は立ち上がった

「さっきは悪かった」

さあ、琉菜はどんな恋愛をお望みだ?

セックスを頼むくらいだ
甘い彼氏との時間を欲しているんだろうな

俺は琉菜の横にたつと、肩を組んだ

「…いやっ」

琉菜は恐怖に歪んだ表情になると、俺の胸を押した

は?

俺は呆気にとられた

だって拒否られるなんて思ってないし
『レンタル恋人』に登録しておいて、肩を抱かれるのが嫌な女なんて今まで一人もいなかった

「え…あ、とごめんなさい」

琉菜が謝った

「いや…別に」

俺は琉菜から視線を外した

なんだよ
セックスしろって言っておいて

肩を抱かれるのが嫌なら、ベッドにすら入れねえっつうの

意味わかんねえ


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