レンタるな恋人
「セックスが?
俺としようって言ったのに……」

「えっと、それは…意を決して…言った言葉で
ある人に嫌われたくなくて…一度、セックスが気持ち良い行為だってわかれば、きっともう平気だろうって思って」

俺は分厚い本を閉じると、琉菜の顔を見つめた

となりに座っている琉菜は手をもじもじと動かしていた
話しにくいのだろう

ただここまで話しておいて、言わないのはどうだろう…とか考えているのか


何か深い理由がある

俺はそう思った


琉菜には誰にも言えない秘密があって
それが
恋愛をする気持ちを臆病にさせている

「前に一度、嫌な経験をした?」

「はい…中学生のときに同級生の男の子に」

「無理やり?」

琉菜が頷いた

そのときのことを思い出したのか
指先が震えるのがわかった

「男の人ってセックスが大事でしょ?
彼女とはやりたいって思うから……今までも何人かの人と付き合っても
やっぱり怖くて…そういう雰囲気になると震えが止まらないの
エッチができないと気持ちも冷めちゃうみたいで…」

「あんたが言わなかったからだろ?」

「え? 何を」

「中学のときの行為を…だ」

「言えるわけないじゃない」

「言わなきゃ、男はわからないだろ?」

「言ってどうなるの?
嫌われたくないもの
セックスができない女なんて思われたくない」

「そもそも考え方が間違ってるんだよ」

根本的な考え方がな

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