レンタるな恋人
社長って暴力姉貴のことな

人前では…というか仕事中は『社長』って言わないと姉貴が怒る

男の理想が高い上にプライドも高いというめんどーな女だよ、姉貴はさ



「『恋愛体質改善プログラム』って実際そんなに実行してくるヤツっていないんだ
だってさ、見るからに悪徳商法って臭いがするだろ?
恋人のレンタルだけで十分って思うやつが大半」

「悪徳商法……」

「本当にそうかは、一週間後に実感してくれよ
俺はただ俺の知識を相手に託すだけ

人は一人では生きていけない仕組みなってる
誰かを愛し、誰かに愛されて一生を過ごしていくんだ

それはすぐ近くに愛する人がいるかもしれないし
そうじゃないかもしれない

できるならすぐ近くに愛する人がいて欲しいだろ
手をつなげる距離にいて欲しい

つらいときは抱きしめてあげられる距離にいたい

小指と小指が赤い糸でつながれていて、いつか必ず運命の人と出会える…なんて待ってるのは嫌だろ?」

俺が笑うと、琉菜はつられて微笑んだ



可愛いな

顔の印象がかわっただけで笑い方も変化してきたみたいだ

「すごいなあ
それで何人の人を恋愛体質に変化させたの?」

「さあ?
それは企業秘密だ」

10人はいる
真面目に数えたことはねえけど

気にする女は気にするだろ

自分の他に何人いて

自分はどれくらいの位置にいるのか、とか

俺にとってどの位置にいるのかは関係ねえんだよ
ただ真剣に変わろうとしている姿が大事だ

プログラムをただ淡々とこなしたって、すぐに変化して
新しい恋ができるわけじゃねえんだ

己の努力によって
意識をすることで少しずつ変化して、いつの間に己の体のしみこんでいく

染み込んでいくことで、自然と振舞えるようになって新しい恋に出会えるんだ

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