レンタるな恋人
待ち合わせ時間は午後6時だった

…が現在午後6時半
俺はまた待ち呆け中だ


教師の仕事は大変だと思うが…まさか
飯田とホテルに行ってねーよな?


俺はスーツのポケットから単語帳を出すと
英単語の勉強を始めた

「よっ、仕事?」

顔をあげるとラフな格好をしている玲が立っていた

「なに、休憩中?」

「…に見える?
こう見えても仕事中だよ」

「休憩中っつたら殴ろうかと思ったんだ
玲のせいで、俺は毎日使いっぱしりだ」

「悪いな!
俺ってば人気があるから」

「むかつくセリフだぜ
さっさと俺の前から消えろ」

「つれない男だね~」

「うるせえよ!」

俺と玲は目を合わせると、頬笑み合った

玲は店から出てきたお客様に気がつくと駆け足で近づいていた

なんと可愛らしい走り方だか
年上の熟女は玲を愛おしそうに見つめている

マダムのお買い物にお付き合い中か

「ごめんなさい
仕事が……」

琉菜が息をきらして立っていた

何度同じ言い訳を耳にするやら

俺は首を振ると笑みを見せた

「さっきの人はお友達?」

おともだち…って聞き方が先生って感じだよな

「あ…いや、玲だ
琉菜が最初に指名したヤツだよ」

「え?」

琉菜の視線が玲にいった

仲良くマダムと腕を組む玲を眺めた

「なんか印象が違う」

「ああ、仕事だから
相手に合わせる
相手が望む男に変身するんだ」
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