レンタるな恋人

「じゃ、これで全部な
ピンクのスーツは着て帰れ
似合ってたから」

試着したスーツの整理をする

買っていくもの、買わないものを選んでから琉菜は試着室に入った

今日は全部で６着のスーツ
全部で３０万以上


ちょっと予算オーバーだが……まあ、いいや
俺の金を足せばいい

琉菜には気を使わせたくない
琉菜は過去のトラウマから抜け出そうと努力しているんだ

金のことを気にして欲しくない

…て俺、やばいかも
姉貴にばれたら、首を絞められるな

琉菜を想っている



「先に会計を頼むよ」

俺は店員にカードを渡した

「一括で」

「かしこまりました
本当にうらやましいな、彼女が」

「あ、あと値札は全部取っておいて」

俺は店員にウインクをする

そんなに羨ましいなら『レンタル恋人』に登録するといい

…なんて言わない

彼氏役のときは絶対に、な
仕事の宣伝はご法度

羨ましいのは俺が支払っているように見えるからだ

琉菜からはしっかりと金はもらう

俺は払っているように見えて
琉菜が払ってるんだ


「あ…それとあの展示されているピンクのカバンもくれる？」

俺は展示品のカバンを指さした

これから着て帰るスーツにぴったりだ

これは俺からのプレゼントだな

姉貴には内緒だ