レンタるな恋人
「今日、琉菜の家にあがってもいい?」

「え?」

「化粧品、どれくらいあるか見ておきたい
今夜はもう店が閉まってるだろうから
足りない化粧品は俺が明日、出勤前に届けるよ」

「え? だって店は閉まってるなら…」

「ああ、家に試供品があるから、それを届けるだけ
基本的なアドバイスはするから、あとは自分で選んで買ってみなよ
自信がないなら、化粧会社の美容部員に聞くといいさ」

スーツを買った後、俺らはレストランで食事をした

「ん? どうした?」

「え? あ、ううん」

琉菜は遠くにあった視線を戻すと首を横に振った

俺は琉菜が見ていた先を眺めた

恋人同士がジュエリー店の前に立っていた

指輪を決めているようにも見えるし
ただ展示品を眺めているようにも見える

もしかして羨ましく思っているのか?

「見ていく?」

俺がジュエリー店を指さした

「え? でも…」

「見たいんだろ?」

「うん」

「じゃ、見ていこ」

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