レンタるな恋人
文庫本を閉じると、机の上に学生鞄を置いた

鞄の中を開けると、内ポケットに入っている指輪を見つめた

琉菜とおそろいの指輪

琉菜はどこに指輪を置いているのだろう
肌身離さず持ってる?

それとも家か?

デートのときにつけてと約束をしたから
昨日プレゼントしたピンクの鞄の中に入ってるのか?


眼鏡のガラス越しに見える指輪が寂しく輝いた




まずいな
俺は琉菜を想っている

今までの客とは違う存在だ


琉菜は俺にとって特別な女だ


琉菜は俺をどう思っているのだろう

レンタル彼氏としか思っていないのだろうか

それとも俺と同じように
特別視してくれてる?


俺は琉菜を想っている


このままだと姉貴に怒られるな

でも


相手を想う気持ちはそう簡単には止められないだろ?

違うか?

俺は止められそうにない

琉菜への想いを止めたくない



隠すけど
最後まで隠すけれど

琉菜の彼氏でいる間だけは

琉菜を思いきり愛したい
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