レンタるな恋人
トイレで着替えた俺は、指輪をつけた
ゴールドの指輪を薬指へ

俺の指を滑るように入った指輪は、蛍光灯の明かりできらりと光った

プラン開始の時間は7時

琉菜の仕事が終わっているといいな

残業とかになってないといい

俺は鏡にうつっている己の顔を見つめる

仕事帰りの男に見えるだろうか?

アイライナーでかいたホクロがきちんと消えているか

眼鏡の跡がのこってないか

確認をすると、鏡にうつっている顔を笑顔にした

早く琉菜に会いたい

恋汰としての俺を見てもらいたい

会話をしたい

「重症だな、俺」

琉菜に溺れている

琉菜には恋人がいるのにな

片思いってこういうのを言うのだろうか


振り向いてもらえないってわかっているって辛いな

心が痛い

胸が苦しい

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