レンタるな恋人
「どうしてこれを持っているの?」

「あ…いや…拾った?」

苦しい言い訳を俺は呟いた

琉菜の目が怖い

真実を見抜かれてしまうのではないか…と心が痛くなる

俺は琉菜から視線をそらした

「もしかして…恋汰って冬馬くんなの?」

俺はごくりと唾を飲み込んだ

その音は大きくて、琉菜に聞かれてそうだ

「ねえ、答えて」

「真実を言うべき?」

「聞きたい」

俺は琉菜と目を合わせると、舌で唇を舐めた

言ってどうなるんだよ
知らないままのほうが良いってこともあるんだ

くそ

なんで俺は生徒手帳をここにしまっておいただろう


「そうだよ
俺は冬馬郁巳だ
先生のことは知ってた」

琉菜の顔がどんどん暗くなっていく

「知ってて……私を馬鹿にしてた?」

「いや…してない」

「私の過去を知って、本当は笑ってたんじゃない?」

「笑ってない」

「ごめん……一人で帰る」


琉菜が俺に背を向けると、小走りでアパートに向かっていった

俺は適度な距離をあけて、琉菜がアパートに無事に帰るのを見届けた

このプログラムはキャンセル…かな
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