わたあめ―kimi to hajimete―

罠と勘違い



「あのね……」

私は神田に助けられた日からのことを順番に話した。店の前であの男たちに毎日、待ち伏せされてたこと。一昨日、マスターが追い払ったことで昨日から駅で待ち伏せされてしまったこと。コンビニでの立ち聞きで神田が危ないと知って、店に逃げ戻るとあの男たちが店にやって来て、怖くなったこと。


「正直、神田君に電話するつもりはなかった。」


「じゃ、なんでオレに?」


「それは私のせいね…」

アキが神田を見ながら話し始めた。

「え?」


「カノにハルの番号教えたのは
私なの。
カノの様子がおかしかったから、『魔法使い』に繋がる番号…って言ってね。」



「まさか、神田君の番号だとはね……」

掛けてゴメンね…。

そう付け足した。



「それで作戦なんだが…」


今まで話を聞いていた和君が仕切りに入った。


「そういえば…
さっき、囮とか言ってたよな?」

どういうことだ?

神田の目がそう言っているような気がした。



(話さないとダメか…。)

「そのまんまの意味よ。
もう一度、襲われるの。」

神田が目を見開く…


「俺の知り合いがこの辺りを統括してる暴走族の総長なんだ。そいつや仲間にカノを襲った連中の顔とかを覚えさせて、後からブチのめすってのが作戦だ。」



そう、これが作戦。
顔を覚えてもらうには
もう一度襲われなくてはならない。
危険なのは承知。
怖くてたまらない。
だからと言って、
そのままにも出来ない。

狙われてるのは私1人じゃないから……


「カノ。決行日は?」


アキが真剣な眼差しで聞いてきた。


「…今夜。」


今夜…
もう一度あいつ等に襲われる……。
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