わたあめ―kimi to hajimete―


「お疲れ様です!
お先に失礼しまーす!!」

今日のバイトも終了。
2階に行かなきゃ!!


階段を駆け上ると窓をジッと見つめるスタッフがいた。

「矢野さん……?」

「綾乃さん、お疲れ様です。」

「お疲れ様です。
あの、今、いいですか?」

昨日のこと、きちんと謝ろう。

「いいですよ。
私もお話があります。」


………何??


「昨日はすいませんでした。
どうやら、貴女を傷つけてしまう言い方をしたようで……」


「そんなことないです!

私のほうこそ、本当にすみませんでした!!」

「顔を上げて下さい。」

顔をあげると微笑みかけている矢野さんがいた。


「そういえば、さっきは何をジッと見てたんですか?」

言った途端に矢野さんから微笑みが消えた。

(あれ?
なんか変なこと言った??)

「窓の外にずっとこの店を見てる不審な男がいるんです。」


「………えっ!?」

まさか、あいつらが…!!
強張ったまま、窓の外を見る。
そこにいたのは…


「……げっ!?」

神田がいた。
ほ、本当に来たんだ。
危ないって私言ったよね――!?


「……さん!綾乃さん!」


「え、あ、はい?」


矢野さんが何やら真剣な顔をして呼んでいた。

「ここで待っていて下さい。
すぐに追い払ってきます。」


矢野さんはすぐに1階へ向かって行った。矢野さんってこんな人だっけ?………ん?

(追い払う?神田を?
………まずい!!)

「待って!矢野さん!!」

矢野さんは立ち止まりこちらを振り返って、

「ここにいて下さい。
後で、送りますから。」


行かせちゃダメ!
そう思った私は思いっきり矢野さんの腕を掴んだ。


「離して下さい。」

「嫌です!
彼は違うんです!!」

「何が違うんです?!
そんな顔をして。」

「彼は…っ!私を迎えに来てくれたんです!!」
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